北海道庁の課長級以上を務めた元幹部職員の天下りを規制する「北海道職員の再就職に関する取扱要綱」の対象とならない団体への天下りが、5年間で27人に上っています。日本共産党道議団の調査で明らかになり、菊地葉子道議が11月11日の決算特別委員会で、実態を追及しました。
要綱改正後、規制を受ける天下り先団体は激減
北海道庁の課長級以上を務めた元幹部職員の天下りを規制する「北海道職員の再就職に関する取扱要綱」では「要綱の対象となる要件が不明確」と2009年に改定が行われ「道からの補助金が団体歳出規模の50%以上」「基本財産、資本金に占める道の出資金の割合が25%以上」の要件を定めました。
その結果、要綱摘要団体は改正前の100団体から昨年度は23団体へと減少しました。一方非適用団体でも道からは補助金・出資金は投入されています。党道議団の調査で17年~21年度の非適用団体への出資金は約275億円。補助金は昨年度だけで約50億円拠出されています。
再就職先での給与基準額もブラック状態
要綱摘要団体が少なくなれば天下りの規制も受けないことになり、要綱で示される再就職者の給与基準額も、非適用団体では制限がなくブラック状態のままです。
菊地道議は「要綱の縛りを受ける適用団体が減少しているなか、透明性が確保されているとどうしていえるのか」と追及しました。
鈴木直道知事は「要綱摘要の有無にかかわらず、再就職先の名称や役職の届出を義務化し、実名公表している」と答弁しましたが、規制が及ばなくなっている実態には目を背けました。
厳格基準をもうけ透明性向上を
菊地道議は「非適用団体であっても多額の税金が投入され、現役職員を派遣している団体もあり、天下りも事実上の指定席となっている。道の基準自体甘いと言わざるを得ない」と告発。建設部所管の「北海道建設技術センター」は非適用団体でありながら3代続けて建設部長が天下りしており、道と密接な関わりがあると言われても仕方ありません。
東京都では、外部目線で再就職を厳しく審査する第三者委員会を設置し、大阪府では300万円以上の交付金・補助金を府から受けている法人への天下りを原則禁止しています。
菊地道議は「非適用団体を含めて厳格な基準を設け、透明性を確保する必要がある」と迫りました。
「要綱に基づき適切に対応」と答弁を繰り返す鈴木知事に菊地道議は「これまで指摘してきたことを受け止め、たえず見直しにチャレンジしていくべき」と強調しました。
